2020/12/11


琥珀が採掘される岩手県久慈地方をはじめて訪ねたのは、2015年8月のこと。
山中の坑道に足を踏み入れると、真夏でも身体の芯まで冷えきりました。付近にはクマやカモシカも生息しています。

とろりと甘くて美味しそうな久慈地方の琥珀。
鉱物のように見えますが、琥珀は100%植物由来。8500万年前の地層から掘り出される、南洋杉の樹液の化石です。恐竜が生息していた白亜紀後期、原生林の樹木から分泌された樹液が、大雨や洪水によって押し流されて、海底深く堆積し化石化したもの。地盤の隆起で地上に露出したその地層が、現在の坑道です。

岩手県久慈地方の坑道から掘り出された琥珀の原石は、小さなひとかけまで愛おしい素材です。琥珀粉を溶かして圧縮した再生琥珀とは異なり、とろりとした樹液の甘さを感じる無垢な表情です。色を濃くするための加熱処理も一切していません。坑道から掘り出したままの琥珀は、色や内包物がひとつひとつ異なる一点ものです。

©su Ha ALL Rights Reserved.