2022.10.22
北海道厚沢部町から届いたイタヤカエデの木取りをしています。複雑に入り組んだ木目と縞状の木理が重なり合った、美しすぎる縮み杢。
厚沢部町を初めて訪ねたのは四年前。最低気温マイナス12℃、最高気温マイナス11℃、記録的な寒波となった凍てつく日のことでした。函館空港から車で西へ走ること二時間。どこまで行っても視界は一面の白い世界、山道へ入ると前にも後ろにも車はなく、何を頼りにハンドルを切ればいいのかわからなくなるほどでした。
イタヤカエデの白い木肌を見るたび、あの白い世界が思い出されます。厳寒の地が育む硬質な木肌は、艶やかな光沢を帯びています。
細かく縮れた樹皮からも、みっちりと縮み杢が内包されていることがわかります。一本の丸太から製材されたイタヤカエデの共木です。
大きなアイテムから先に木取り、不揃いな小さな材をウッドカフやウッドリングに仕上げます。樹皮近くに浮かび上がる艶やかな光沢も、端々まで無駄なく活かしていきます。