2020/04/19

2020/4/19

「呼吸するジュエリー」展の会期を終えました。このような日々にも、ジュエリーを必要としてくださる方々がいることに、関わる人たちと共に驚き、喜び、最後までご案内を続けることができました。ありがとうございました。

会期のはじまる前、考古学博物館へ立ち寄りました。約1万年前、自然との対話を深めていく当時の人々が、装身具に何を求めていたのか、もう一度確かめたくなったからです。
展示室には、動物の骨角、貝殻、木などの装身具が所狭しと並んでいます。そのひとつひとつから、祈りの気持ちが伝わってきました。

二年ほど、習慣のように身に着けている木のブレスレットがあります。生物素材のジュエリーは、時間が経つにつれて色艶が深まるとともに、使う人の記憶が蓄積されて特別な存在になっていきます。森や海の記憶に人の記憶が重なっていく姿は、まるで小さな命を身に付けているかのように、温かく確かな力に満ちています。

「木肌色のブレスレット」
もみじばふう(神奈川)

“Wood cuff” Bracelet
Momijibafu (Liquidambar styraciflua, Japan)

2020/04/14

2020/4/14

隠岐の島と伊勢の海から届いたあわびの原貝を仕分けています。大きさと重さを記録したあと、貝殻の凹凸を指先で確かめながら、それぞれの原貝に適したデザインへ振り分けていきます。

あわびの貝殻の外側は海藻やフジツボで覆われていて、岩のように擬態して外敵から身を守っています。〈su Ha〉のあわびのピアスは、岩のような付着物と外層(稜柱層)を手作業で削り取り、その下に潜むエネルギッシュな真珠層を磨き出しています。淡く光る貝殻の内側は、そのままピアスの裏面になります。

「舟のフックピアス」
あわび(隠岐の島、伊勢、玄界灘、伊豆)/K18YG

“to sea” Earrings
Abalone shell (Japan) / K18YG

2020/04/08

2020/4/8

赤珊瑚やあわびの貝殻や琥珀の自然素材から生まれたジュエリー

WISE・WISE tools にて開催中の「呼吸するジュエリー」展は、東京ミッドタウン(六本木)の臨時休館に合わせて、4月8日(水)より、店頭でのご案内をお休みすることになりました。同時開催のWISE・WISE tools オンラインショップは、引き続きご案内をしていますので、どうぞご覧ください。心がほぐれるような、温かな表情が並びます。命ある素材とのひと時を楽しんでいただけたらと思います。

朝日新聞の福岡伸一の「動的平衡 ウイルスという存在」

東京都では、子どもたちの通う小学校、そして中学校の入学式もお休みになりました。長い春休みです。
娘は、友人から譲ってもらったお下がりの制服で中学へ通うことを決めて、制服代の全額をユニセフへ寄付しました。コロナウイルスに国境はありません。

人も自然もウイルスも、地球をシェアする生命体がバランスの良いところへ落ち着くまで、相応の時間がかかることになるかもしれません。

この多難の時、ささやかだけれど、命がつないできたジュエリーの美しさには、確かな力があると信じています。

 

Please be safe and kind.
su Ha, Japan

2020/03/28

「呼吸するジュエリー」展のお知らせ

自然素材のアクセサリー

4月3日(金)〜16日(木)の期間、WISE・WISE tools(東京ミッドタウン)にて「呼吸するジュエリー」展を開催します。

昨春に続いて二度目となる今展では、舟をモチーフとした “to sea”コレクションを中心にご紹介します。〈su Ha〉のファーストプロダクト “to sea(舟のピアス)” は、あわび、黒柿などの天然木、日本きじ、天蚕、といった多様な素材の美しさを、シンプルな舟形の輪郭に閉じ込めたジュエリーです。

海へ漕ぎだすように、新たなスタートを切るこの季節。耳元で軽やかにゆれる舟のピアスは、身に着ける人の舟出に寄り添いながら、時に力強く背中を押してくれることでしょう。

赤珊瑚のピアス

WISE・WISE tools オンラインショップ では、あわびの真珠層を磨きだした “to sea(舟のピアス)” や、赤珊瑚の原木の姿を生かした “Rose petals(花びらのピアス・イヤリング)” など、〈su Ha〉の一部アイテムの販売をスタートします。赤珊瑚のピアス・イヤリングは、ひとつひとつ異なる形と色を、耳に合わせた様子もご覧いただけます。「作り手  Artists&studios」のストーリーとあわせて、どうぞお楽しみください。
※オンラインショップでの販売は、4月3日(金)よりスタートします。

 

su Ha「呼吸するジュエリー」展
日時:4月3日(金)〜16日(木) 11:00~21:00
場所:WISE・WISE tools
東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウンレリア3F  03-5647-8355
※東京ミッドタウンの休館にともない、4月8日(水)よりしばらくの間、店頭でのご案内をお休みします。WISE・WISE tools オンラインショップ にて引き続きご案内していますので、どうぞご覧ください。

デザイナー在店日:4月4日(土) 5日(日) 12日(日) 14:00~18:00
※東京ミッドタウンの休館にともない、在店はお休みとなりました。

2020/03/27

「大人になったら、着たい服」掲載

大人になったら着たい服

「大人になったら、着たい服」2020春夏 に、 “Wood cuff(木肌色のブレスレット)” 、 “UNKEI(あめ玉のロングピアス)” が掲載されました。

大人になったら着たい服

2020/03/23

2020/3/23

あわびの貝殻のピアス

“to sea” Earrings
Abalone shell (Japan) / K18YG

あわびの貝殻のピアス

「舟のフックピアス」
あわび(隠岐の島、伊勢、玄界灘、伊豆)/K18YG

舟のフックピアスは、2つのサイズ(M:W39ミリ/S:W28ミリ)を揃えています。纏う雰囲気や身長によって、バランスの良いサイズがあるようです。写真は、Mサイズを着けています。

あわびが海の中で平然と作り続ける貝殻は、ナノ積層構造を持った割れないセラミック素材です。
人間が高温高圧をかけて焼き固めるのに対して、あわびは常温常圧で海水中のカルシウムを取り込みながら、一日一層のペースで貝殻を生長させていきます。
あわびの貝殻は、生物学者や工学者が新素材開発のモデルにする、しなやかさと強さを兼ね備えた天然のセラミック素材です。

su Haのピアスには、厚みのある10年生以上のあわびの貝殻を使っています。その重なりは、365層×10年=3650層。生命の神秘を感じる、奥行きのある輝きです。

2020/03/21

2020/3/21

木のピアス

“Fatwood” Earrings
Pine tree (Japan/ Liquid glass finish) / K18YG

年輪のピアス

「松のフープピアス」
肥松(隠岐の島 / ガラスコーティング)/ K18YG

松脂をたっぷりと蓄えた枝の付け根を光にかざすと、琥珀色の木肌が現れます。
透明感のある部分だけを、職人と一緒に、一枚ずつ切り分けていきます。切りはじめると、あたりはフィトンチッドの生の香りでいっぱいになります。思わず深呼吸してしまう大好きな工程です。

隠岐の島の松の年輪

風当たりの強い海岸沿いにある百年生の松山で、身を縮めながらゆっくり成長した松は、年輪が細かく詰まっています。枝の付け根にはぎゅっと松脂を蓄えて、強風にも折れない粘り強さを備えています。木が枯れ倒れて幹が土に還っても、松脂に守られた枝の付け根はその姿を残します。生き抜く力が詰まっています。

隠岐の島の松山

隠岐の島の松山は、1975年ごろから松くい虫の被害を受けて、多くの松が枯れてしまいました。su Haの松のピアスは、島の現場を歩き被害跡地の森林再生に取り組む池田木材との協働によるものづくりです。

隠岐の島の松山

2020/03/20

2020/3/20

木のピアス

“to sea” Earrings
Kurogaki(Japanese black persimmon wood, Liquid glass finish) / K18YG

 

「舟のフックピアス」
黒柿(日本、ガラスコーティング)、K18イエローゴールド

 

PhotographsRinko Tsukamoto

2020/03/13

2020/3/13

鹿角のピアス

“first” Earrings
Antler (Hokkaido, JAPAN)/ K18YG

Some we love, some we hate, some we eat: Why It’s so hard to think straight about Animals. /Harold Herzog

 

小ぶりな鹿角ピアスが揃いました。ひとつひとつ表情が異なります。

エゾシカの鹿角をくるくる回しながら観察し、色と柄がはっきりした部分だけを、職人と一緒に、一枚ずつ切り分けています。切りはじめると、獣の匂いがします。
フックは、バンビが跳ねているような、躍動感のあるカーブを描いています。それぞれの鹿角の丸みに合わせて、K18の角線材を手仕事で曲げています。

 

鹿角のピアス

鹿角を初めて手にして、試作を始めたころに、偶然図書館で見つけたのが、「ぼくらはそれでも肉を食う 人と動物の奇妙な関係」という本でした。目次には「ソファにネコ、皿には牛 人はみんな偽善者?」という問いかけが。動物と人間の関係は矛盾に満ちています。

ファーフリー、アニマルフリーを唱えるブランドが増えて、毛皮や羽根や角を使った製品が一括りに疎まれるなか、動物素材を使うものづくりに対してシンプルな答えを出してくれたのが、北海道自然資源活用機構の北原さんでした。

su Haのジュエリーに使われている鹿角は、北海道で個体数管理のために捕獲された12万頭/年ものエゾシカから得る、サスティナブルな素材です。命の尊さ、本当の意味での共生とはなにか。現場を歩くエゾジカ学の研究に裏打ちされた北原さんの取組みが、鹿角ピアスの礎です。

北海道のエゾシカやアライグマの毛皮もたまらない美しさです。時を超えて命がつないできた必然の形質には、人の作るものが及ばない、洗練された美しさと精妙な合理性があります。毛並みに触れるたびに命を思う、私の大切な宝物です。

©su Ha ALL Rights Reserved.